恋のキューピッドは怪獣でした!
「俺も付けよう。」

あまりにも気持ち悪いレギラのしっぽに半分泣きそうになってたけど、無邪気な史郎さんを見ていたら、ちょっと気持ちが変わった。



「お揃いだな。」

ストラップを付けたスマホを見て嬉しそうに微笑み、史郎さんはそんなことを言う。
他の女とお揃いのストラップなんか付けて、彼女さんに悪いとか思わないのかな?
……あ、そっか。
きっと、史郎さんは私のことを女として見てないんだ。
だから、そんなことも気にならないってことなんだね。



そりゃあ、そうだよね。
私は史郎さんよりずっと年上だし、家ではすっぴんもさらしてるし、私は特別美人とかじゃないからね。
相手にされなくて当然だ。
そんなことは端からわかってるけど、それでもなんだか寂しい気持ちになるのはなぜなんだろう?



二人でイベントに行って、二人で食事をして、お揃いのストラップを付けて…
それでも、私と史郎さんはただのご主人様と使用人なんだよね。



あぁ、腹が立つ…!
こんなことで、落ち込んでしまう自分自身が悔しくてたまらない。



(私……やっぱり、史郎さんのことが好きなのかな?)



認めたくはないけど、それが真実なのかもしれない。
だけど、だめだめ。
史郎さんは、好きになればなるほど辛くなるだけの人なんだから。
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