恋のキューピッドは怪獣でした!
「あ!これ…!」

私があるものを指さすと、史郎さんは悪戯な顔で笑った。
そう、それは私とぶつかった時に壊れてしまったあのオブジェ。
壊れる前のを見たことはなかったけど、なぜだかこれだってすぐにわかった。



「やっぱり気になってな…
ネットで探しまくったら、どうにか手に入った。」

「そうなんですね。
あ、でも…高かったのでは?」

「それは仕方ない。」



えー…どうしよう。
オブジェが割れたのは私のせいでもあるから、弁償しなきゃって気はするけど。
ネットで買ったってことは、多分、フリマかオークションで…
ってことは、元値よりは絶対高いだろうし…
もしかして、お給料が全部吹っ飛ぶ…!?
でもでも、少しくらいは払わないと申し訳ないような気もするし…



「あ、あの…ぶつかったのは、私のせいでもあるので…
その…全額とはいかないですが、多少なりとも…その……」

「弁償するっていうのか?
その代わりに働いてもらうことで手を打ったんだろ?
金をもらったら、二重取りすることになるじゃないか。」

「え?そ…それはそうですが…
本当に良いんですか?」

「あぁ、気にしなくて良い。
今回のはシリアルナンバーも良いやつだったし、気に入ってるんだ。」

そう言って、史郎さんはにっこりと笑った。
レギラの話になると、この人は子供みたいに無邪気な顔をする。
それがとっても可愛くて、この笑顔を見る度にドキッとしてしまう。
< 55 / 136 >

この作品をシェア

pagetop