恋のキューピッドは怪獣でした!
「一体、どんな手を使ってここに入ったの?」

その言葉にはさすがに頭に来た。



「それは、私と史郎さんの間で決めたことですから、手島さんには関係ないと思いますが…」

「まぁ!」

手島さんが、鋭い目つきで私をにらむ。
私もここでは引けないと、睨み返してやった。



「まさか付き合ってるとか…それはないわよね。」

手島さんが勝ち誇ったような顔で、小さく笑う。
全くもう!なんて失礼な人なんだ!!



「私と史郎さんは、純粋に仕事上だけの関係です。」

「わかってるわよ、そんなこと。」

何、それ!
ますます頭に来るんですけど。



「そんなことはどうでも良いわ。
あ、そこのファイル取って。」

「ファイル?」

指さす先には、この近くの店屋物のお店のファイルがあった。
私がファイルを差し出すと、手島さんはそれをあれこれ見ながら…



「うな吉の特上うな重にするわ。
あんたも、うな吉にしなさいよ。」

え?何?
あ、そっか。もうじきお昼だからだね。
私にもうな吉をすすめるってことは、お昼ごはんをおごってくれるってこと?
私がケーキを買ってあげたから?
さっきまで、嫌な人だと思ってたけど、実はそうでもないのかな?
一応、私のことも気にしてくれてたのかな??



「えっと…それじゃあ、私はうな丼の並で…」

「電話してちょうだい。」

「はい。」

私は、うな吉に注文の電話をかけた。
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