俺のまさかの溺愛狂想曲
「バカァ~ バカァ~。」
と二羽であざ笑うかのように
夕焼けの空に響いていた。
「もう、終わったんです。
雄吾さん。夏華を幸せにして下
さい。」
次の日は、吉乃が会社に胃腸炎と
連絡してくれた。初めて会社を休
んだ。初めてのズル休み。
引っ越し屋さんを、呼んで、彼の
私物を彼の実家に送り、ご両親に来
てもらった。
夏華の部屋に送るつもりだったが
彼の母親にそれはやめてほしいと
言われた。
最後に荷物の確認をしてもらい大家
さんに鍵を代える事を承諾して
もらって鍵を変えた。
彼のお母さんは私と良く映画に
行ったり旅行したり、食事をしたり
良くしてもらったので別れを凄く
悲しんでくれた。
ずっと、頭を下げていた。
結菜も初めて号泣した。
お義母さん、お義母さんとすがり
ついて泣いた。
お義母と呼べるのはこれが最後だ
雄吾と別れる事より義母になる
はずだったこの人との別れが・・・
辛かった。
ご両親も結菜が可哀想に思える位
謝られて、何度も何度も
「もう一度、チャンスを貰えない
か?」
と言われたが
「相手は私の元親友です…
今度は彼女から、彼を奪う事に
なります。
私には、・・・出来ません。」
お義母様は泣かれていた。
お義父様は、フウ~ツと深い
溜め息をはかれて、
「分かりました。私達は、
あなたが嫁入り
してくれるのが、凄くたのしみ
でした。
こんな事になって申し訳無い。
償いをさせて下さい。」
そう言われ茶封筒を差し出して来た。
「とんでもありません。」
結菜が押し返すと、ご両親は、
「受け取って貰わないと、私達が
前に進めない。引っ越し費用と
思って下さい。
あなたが幸せになる事を祈って
います。」
二人は正座を崩さず深く頭を下
げられた。
義両親になるはずの人達に、泣かれ
頭をさげられて・・・
結菜も、胸が引きちぎられるような
辛い体験だった。
何度か後悔した。
「もしかしたら私さえ我慢すれば
丸く収まったのかもしれない。」
そんな鬱々とした日々が過ぎた。
しかし夏華が妊娠した知らせを芽依
から聞いた。
「やっと、終わった。」
自分の中のかすかな後悔が砕け
散った。
結菜が苦しんでいる間も二人は仲
良くやっていたんだと思うと馬鹿
らしく可笑しく思えた。
それから新しいアパートに引っ越
した。マンションとは違いセキュリ
ティーも前よりは甘いかもしれない。
独りで住む分生活は、きつかったが
学生の時働いたモールで土日働いた。
家賃の支払いも、
余裕で生活出来ていた。
今まで私も雄吾に支えてもらってたの
だと感謝出来るようになった。
雄吾が初めてのカレシで
辛かったからもうしばらくは
カレシは作らず作ったとしても、
私を裏切らない誠実で私を愛して
くれる人がいい。
私、「B専!! ですからっ!! 」
もう、イケメンは、止めて心が揺れ
ない強い人を探そう。
««ドンツ!!»» その時の怒りが
ふってきて、ついテーブルを叩いて
しまった。
Σ(⊙ω⊙)「結菜大丈夫かい?」
「アハハハハつい思い出して
興奮しちゃったエヘヘヘ」
そんな辛い過去を話してしまった
のはなぜだろう。