俺のまさかの溺愛狂想曲
「食べたい?一個あげよっか?」
黒目が俺を覗いて凄く白目の綺麗な
結菜が上目づかいでまた、
覗いてくる。
ずっと見とれていたのを
欲しがってると勘違いしたのか?
「嫌、勘弁してくれ。」
俺はホット珈琲のブラックを堪能する。
このホテルは九条家の傘下にある。
だから、
九条光寿郎の顔は皆しっている。
この珈琲は俺のお気に入りだ。
「フウ~ツご馳走様でした。」
目の前で手をあわせて頭を下げる。
会計を済ませようと立ち上がると
ぴゃぴゃぴゃと走り結菜は、会計を
済ませようとした。
「いえ九条様のお連れ様ですので‥」
「えっ、光寿郎の連れだと何か
問題でも?」
「あ、はぁ。今までお支払は九条様
がされております。」
あああ!! 大丈夫!大丈夫
割り勘ですから、いっぱい食べたし
悪いから‥はい。私の分。」
結菜は、諭吉さんをニ枚出した。
光寿郎が黒いカードを差し出すと
会計は、済んでしまった。
ニッコリ笑う光寿郎に有り難う。
ご馳走様でしたと、不本意ではある
が頭を下げた。
「じゃあ此処で、」
レストランの前で光寿郎と別れた。
食い逃げってやつだ。
光寿郎は、一人飲みにでも出るのも、
つまらないからと
ホテルの従業員主任や部長を誘い
町に、くり出した。
しばらく飲んでいたら艶やかな女が
光寿郎を見た。いつものように
軽く誘ってみると
直ぐ反応が帰って来た。
五分位の道のりを
彼女と腕を組みホテルまで歩いて
いたら見覚えのある可愛らしい
彼女が歩いてきた。
「あー光寿郎ー、さっきはドーモ。」
「結菜どこいってたんだ?
寝たんじゃないのか?」
「へ!!子供だって8時には寝ないよ。
お寿司食べにいってたの。」
「は?あんなに食べたのに?」
そんな会話を遮るように、女が
光寿郎の腕をつついて、
「ねえ~ん♡♡早く2人になりたい。」
♡♡♡
と光寿郎を艶めかしい目でさそった。
「あ~あ、すみません。
お邪魔でしたね。彼女を連れて
来てたんだ。
ん?
彼女と食事すればよかったのに
彼女さん、すみませんでした。」
腕をしっかりとつかんでる女性は、
結菜をきつく睨みつけ不機嫌そうだ。
そう言うと結菜はぺこりと頭を下げ
て、さっさとスキップしながら離れ
て行った。
ルンルンとご機嫌な結菜の後ろ姿を
ぼーっと見送る光寿郎だった。