俺のまさかの溺愛狂想曲



「いいか、同窓会行ったら終わり
だからな!!」

「ハァ何時まで彼氏面してんの
 終わってんの!!光寿郎は元カレ。
わかっ た ?
モ•ト•カ•レだょ。もう一回言おう
か?
モ ★ ト★ カ★ レ★。」

   「う、ぐぐぐぐ。」            
「おせわに~♬なりぃ~♪♬
 ますたぁ~♪♪」
慌てる光寿郎をザマーと思いながら
切りすてる。

   「ま、まてまて、違うって
    本当に間違いだって!!」
         

一旦締めかけたドアを、光寿郎の
デカイ足が挟んで、しめれない。
ドアをガンガン足にお見舞いするが、
ぶつけてもびくともしない。

「閉めれないじゃん。
 得意技かよ~。」


 「帰ろう。な!!」
 光寿郎の必死の説得にもめげず
        

「いや、ここウチだしっ。
 今度の同窓会で、彼氏探すから
 邪魔しないでねーっ。

とっとと、桜か、桃か、梅か分から
ない美女と結婚しなよ~。」


  「イヤだ!!俺はユ•イ•ナ•
としか結婚しない!!
どうしたら許してくれる?。」
       

「じゃあ何であの時いわなかったの?
私言ってくれると期待してた。
日本に大事な、彼女がいるって、
結婚したい彼女がいるって、
言わなかったじゃない。
ι(`ロ´)ノコノヤロウ!!

桜さんがいたから言えなかったん
でしょ桜さんも、欲しかったん
でしょ。


一夫一婦制何だよ。
無理でしょ。
なら桜さんにしなよ、私浮気男は
むりなんだから…。」
ムリッス。」


「だから彼女とは何でもない。
 言わなかったのは言う必要がない
からだ よ。
でも結果として誤解させてしまった。
 ごめん。ちゃんとブログで皆に
謝る。」
  
   

「もう、遅いよ。インス〇で、
パーティーの事出てるし今更、
私が光寿郎を彼女からとりあげた
みたいじゃない。
もう終わりだよ。」


  「えっ…嘘だろ!!」
一瞬白目剥いて光寿郎は魂の抜けた
顔をしていた。
         

「確かめなよ。凄いイイネ来てるよ。
 皆祝福してる。
 ついでに私も押しといたイイネ。
英語仏語、中国語、韓国語で書い
てあったよ。
 流石に九条家の跡取り、
皆興味 津々。」


「もう、わかったなら帰って。
 桜さんと上手くやりなよ。
 毎回めんどくさい!」


  「本気で言ってる?」
怒りのこもった震える声できいて
くる。
         

「うん。本気過ぎるホ・ン・キ・」

二人の間に沈黙がひろがる。
諦めたように光寿郎はつぶやいた。

    「そう…か!!」
        

「…もう、いい?」
ドアを締めかけて光寿郎を
        
「じゃあ最後に別れのキス
させて。」

「え?」
と惑っていると
ふと延びてきた手に抱き寄せられて

ンん~んんプフアんん~ンンン

長く熱いキスだった。
そしてなんだか寂しさを呼び覚ます
キスだった。
最後と思えば結菜も求めてしまい
そう我を忘れそうな甘い
キスだった。

  「ブファツ。」

「じゃあな、悪かったよ。
 でも、お前の事心の底から愛して
いたんだ
 いや愛してるよ。」

結菜の唇を、親指で軽く拭くと
クスッと、笑顔を見せた。

光寿郎は全て諦めたような辛い顔を
しフラフラとアパートの小さな
階段を下りて車に乗った。

しばらく見つめていた結菜は
光寿郎の寂しげな微笑みに
怖い雰囲気を、感じた。

アッと声を出し靴もはかず追いかけた。
エンジンの音がして
光寿郎の車は走り出した。

や、やめてー
と、止まってよ~
まってー
まってー

車はスピードをあげていたように
思えた。追いつけない。

しばらくしてカシヤンガシャーン
キーギツと金属音が響いた。



     え‥
あ、足が震えて動け無い

結菜のアパートから三百㍍くらい
先だ。は、早く行かなきゃ!!

気持ちは焦るが足がアスファルト
に吸い付いたように、動けない。


「こ、光寿郎が、光寿郎がー」

ああ、ああ、い、行かないと
し、死んじゃう。
震える足は気持ちと裏腹で
もつれて‥


結菜の横を、救急車が、
けたたましい音を鳴らしながら
走り過ぎた。
赤いパトライトが点滅してる。

それを見た時ハッと我にかえった。

目撃した、アルバイト帰りの
大学生が119通報してくれた
らしい。

光寿郎の黒い車がガードレール
を乗り越えて電柱に当たっていた。

結菜はガタガタ震えながら光寿郎
を探した。
ふるえる足が光寿郎を見つけていた。


 「彼をたすけてくださいー!!」
涙を流して叫ぶ。

「な…くな、ゆい…な、なかな…」
光寿郎の指が結菜の涙を噴こうと
伸ばしてくる。

「ごめんなさい、ごめんなさい
私の方が光寿郎を愛してるの、
ほんとよ
ほんとだからー。
私の寿命を分けてあげるから、
生きて死なないでよー
何でもする。
何でも言う通りにするから・・・
死なないでっ。
愛してるの、本当よ。
お願い、お願い。」

光寿郎は気を失ったのか動かないまま
担架に乗せられていた。
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