俺のまさかの溺愛狂想曲
すると結菜の前を雄吾の運転する
車が走って来た。
隣には夏華の弾ける笑顔が見えた。
一瞬のはずなのにスローモーション
のようにゆっくりと見え…た。
二人は仲良く夏華がもたれるよう
に寄り添い大きな愛らしい目は
チラッと此方を見たような気がした。
白いノースリーブの細い腕、
ショートボブに!チョコレート、
ブラウンの髪が乱れるのを梳い
ていた。
う‥そ!な‥んで?
夏華が乗ってるの?
あの…車は‥
結菜が雄吾と二人で買いに行き
結菜が気に入って買った車、
そうだ今日が納車だった。
雄吾は、通い慣れた道のように
戸惑いもなく真っ直ぐに夏華の
マンションに入って行った。
「一番に乗せるからな。どこ行く?
決めててよ。
俺は結菜となら何処でもいいから。」
「じゃあ、雄吾の
ご両親誘って温泉行こ。
お義母さん誕生日でしょ。
熱海なんか最高だよ。」
「2人で行こうよ。
親が一緒って燃えないじゃん。」
雄吾はつまらなそうに言った。
「いっも一緒に暮らしてるでしょ。
もう直ぐ家族なんだし、
良いじゃな い。」
プウと膨らんだ雄吾の鼻を摘まんで
クニクニしていった。
「結菜!有り難う。
本当に君で良かった。」
「そう?じゃあ一生浮気はナシだよ。」
「浮気?オレが?
するわけ無いじゃん。
絶対し•な•い•!! したとしたら
一生後悔するよ。
だから絶対浮気しません!!」
キリツ!
結菜はそんな会話が頭の中を駆け
めぐった。
浮気より彼の裏切りが許せない。
あの車は、何日も、かけて選んだ。
結菜が気に入って二人で相談して
買った車。
勿論雄吾の資金で買ったのは
間違い無いが・・・
だけど、此からの未来の為に
悩んで、悩んでこれから生まれるで
あろう子供の事も視野に入れて、
迷ったあげく真剣に選んだ車!
・・・悪い夢にしか思えない。
しかも夏華は結菜の友人と彼は知っ
ている。夏華も結菜の婚約者と承知
してるはずなのに!!
何でそんな鬼畜な事を平気でやるん
だろう?。