女の子にならせてよ
「はぁ…お前、強気かと思えばビビりやがって…なんなんだよ。」
意味不明と呟いた凌駕さんに、男嫌いなんです…とは言えずに失礼します!と言って今度こそお母さんの車に向かった。
私の後ろで顔を歪め、あいつ…と呟いた凌駕さんのことは車に乗った私は知らなかった。
車に乗った私にお母さんがニヤニヤして聞いてきた。
「凌駕くん、気に入った?」
気に入った…!?
「ないないない!!」
ブンブンと首を横に振った私。
「へぇ。でも凌駕くん…いや男の子を庇うなんて心愛、珍しいじゃない」
いや…あれは戒さんの言葉に勝手に私がカチンときただけで、別に凌駕さんを庇ったわけじゃ…。
「違うよ、庇ったつもりなんてない」
そう言った私に、お母さんはこれ以上聞いても答えてくれないと感じたのか車を静かに発進させた。