女の子にならせてよ
「はぁ、っ…はっ……ふぅー!」
校門の前で息をつく。
荒れた息を整え、いつも開きっぱなしでガード緩々な校門をくぐる。
静かで誰もいない。
誰もいないのは、私が遅刻してるから当たり前かもしれないけど…。
教室まで、なるべく音を立てずに走る。
3階に1年の教室があるから遠い。
1年3組が見え、ドアを開けた。
まだ休憩時間だったようで息を整えながらホッとした。
「ふぅー、セーフ」
「セーフじゃなかったみたいだよ?」
美織の声が聞こえ、パッと後ろを振り返る。
「え。」
美織の後ろには私たちの担任、橋下凛花(はしもと りんか)通称りっちゃんが鬼のような目つきで私を睨んでいた。