女の子にならせてよ

ゆっくり美織が座ってる席に近づく。



「あ、来た」


そう言った美織に、さっきバッチリ目合いましたよね?と言いたくなった。




多分…男にビクついついた私に気を使って、さっき目が合ったのを無かったことにしてくれてるんだなって思って弱い心が熱くなった。



美織、少し心配そうな顔してるんだもん。


気使わせちゃった。




「私ね、男嫌いなの」


席に着くや否や、急に話し出した私に目を見開いて驚いている美織。




「え、…男嫌い?」



そう聞き返してきた美織に頷く。




「ナンパ野郎追い払えなくてごめんね…」


弱い私でごめんね。



呟くように小さく言った私に、首を横に何度も振ってくれた美織。






「男嫌いって……湊も苦手?………嫌い??」




神妙な面持ちをして聞いてきた美織にはっきり言った。


「嫌いじゃないよ。…私もよくわからないけど、湊は…湊だけには“嫌い、怖い、嫌だ”っていう感情が一切湧いてこないの」




なんでだろうねと笑った私に微笑み、美織が優しくそっかと呟いた。

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