女の子にならせてよ
「離れないよ。俺のこと嫌い?嫌いなら離れた方がいいんだろうけど」
…ずるい。
そんなこと一ミリも思ってないのわかってるくせに。
だって…湊は私が思ってること全部わかっちゃってるんだもの。
「…嫌いじゃないから、離れて行かないで。」
湊はブランコから立ち上がり、そう言った私をニコリと笑って抱きしめた。
「…へっ?」
いきなりのことでついていけない。
わかるのは初めて感じた男の……湊の温もりと香り。
全て優しかった。
ぎこちなくブランコに座ったまま湊に手を回す。
湊の髪が首にかかってくすぐったい。
でも回した腕を緩めようとはしなかった。
しばらく無言で、私たちは抱きしめ合っていた。