あなたを忘れていいですか?
私達の過去
「別れようか…」
「もう無理だろ…」
「じゃあな。」
そう言って、咲哉は背中を向けた。
何度待ってと言っても、何度行かないでと叫んでも、咲哉は私を見ることはなかった。
「違う、待って…!」
と、大きな声を張り上げて目が覚めた。
涙で濡れた目尻を手の甲でぬぐう。
また、あの夢を見た。
何度も見ているあの別れの夢。
いつまでも、この部屋に住んでいるからだと。
いつまでも、この街に住んでいるからだと。
大きなため息を吐いた。
私は地元から離れこの街の看護大学を卒業し、付属の大学病院の看護師として働いていた。
昨日までは…
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