あなたを忘れていいですか?
それはね、私も聞きたかった。
亜季との通話を終わらせた私は、咲哉に聞こうと決めた。
私が大事だよって
紫乃が大切だよって
言ってくれることを願って。
その日の夕方、咲哉は帰ってきた。
地元の懐かしいおみやげを持って。
「はぁ~疲れた。
毎日連日、ずっと飲んでた。
あ、シャワー入ってくるわ。」
おみやげが欲しいんじゃない。
私は、咲哉が信じられる言葉が欲しいんだ。
「あ~すっきりした。
紫乃、仕事お疲れさま。
実家近くにあるもりやの饅頭食べな、紫乃好きだったろ?」
和菓子屋の包み紙を破る咲哉。
「あのね、咲哉。
咲哉と麻衣って、付き合ってたの?
今も会ってるの?」
ビリビリと鳴っていた音が消えた。