あなたを忘れていいですか?

それはね、私も聞きたかった。

亜季との通話を終わらせた私は、咲哉に聞こうと決めた。

私が大事だよって
紫乃が大切だよって
言ってくれることを願って。

その日の夕方、咲哉は帰ってきた。

地元の懐かしいおみやげを持って。

「はぁ~疲れた。
毎日連日、ずっと飲んでた。
あ、シャワー入ってくるわ。」

おみやげが欲しいんじゃない。

私は、咲哉が信じられる言葉が欲しいんだ。

「あ~すっきりした。
紫乃、仕事お疲れさま。
実家近くにあるもりやの饅頭食べな、紫乃好きだったろ?」

和菓子屋の包み紙を破る咲哉。

「あのね、咲哉。
咲哉と麻衣って、付き合ってたの?
今も会ってるの?」

ビリビリと鳴っていた音が消えた。



< 13 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop