あなたを忘れていいですか?
「な、なんで?
どしたの、いきなり。」
明らかに動揺してる咲哉。
「聞いたの、同窓会に出た人から。」
まっすぐ見つめる私と、目を逸らす咲哉。
「な、何もないよ。」
「二次会、二人で抜けたって聞いた。」
「ほ、ほら俺と麻衣は幼なじみで家が隣だから、酔った麻衣を送って行ったんだよ。」
「そっか…わかった。
あ、饅頭食べていい?」
「お、おう食べな。」
ホッとした表情を見せた咲哉。
同窓会や地元の話をする咲哉。
偽りの笑顔を向けて話を聞く私。
どちらが大切か聞けることもなく、その日は終わった。
でも、それから咲哉は変わった。
帰りは遅くなったり、いきなりどこかへ出かけたり、私が夜勤の時は帰って来なかったり…
不信感はどんどん溜まる一方だった。