あなたを忘れていいですか?
「起きた?
シャワーしておいで。
俺、料理できないからデリバリーで申し訳ないけどお祝いしよう。」

嬉しかった。
すごくすごく嬉しかったんだよ。

「うん!」

急いでシャワーをして髪を乾かしてリビングに行く。
テーブルの前に座ると、ワインをグラスに注いでくれる咲哉。

「誕生日おめでとう。」

「ありがとう。」

カチンと音を立てるグラス。
ケーキに立てた火がついたロウソクを指さし咲哉が言った。

「ほら、火を消して。」

ニコニコと頷き息を吸い込みロウソクの火を消した時…

やっぱり神様は意地悪で、あの子も意地悪で、何もかもがうまくいかないんだなって思った。

ピピピ…

着信を知らせる咲哉のスマホ。



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