あなたを忘れていいですか?

その日、私の誕生日の日、咲哉は帰って来なかった。

一睡もできないまま、出勤した。
翌日はテーブルの上はそのまま。
ケーキのクリームが溶けてようが、デリバリーのご馳走が乾いてようが、それらから目を逸らしたまま出勤。
片付けもしたくなかった。
夕方帰ってそのままだったらどうしよう。
そう思っても、触りたくなかった。

夕方、自宅に帰るとテーブルは綺麗になってた。

テーブルの上には、小さな長細い箱だけ。
置かれたメモ。

ごめん。
誕生日プレゼント受け取って。

の言葉だけ。

ごめんは聞き飽きた。
理由が聞きたかった。

何も食べずシャワーをして眠る。
咲哉はきっと、今日も帰って来ないだろう。

今日は土曜日だし、仕事は休みだし。

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