あなたを忘れていいですか?

「妊娠、してたんだ…」

「な、何よあいつ。
何してんの?」

見たところ麻衣のお腹は七ヶ月か八ヶ月。
ということは、去年の暮れあたりの?
あの頃から咲哉はおかしくなった。
そうか、そういうことか。

ふっとため息をつき、駐車場に背を向けた時。

「あ、紫乃ちゃん。
亜季ちゃんもいる。」

と、麻衣が私達に気づく。

やめて、話しかけないで。
幸せな顔を見せないで。

背を向けた私と反対に亜季は振り向いて二人を見る。

「あら、久しぶりね。
いつ産まれるの?」

「久しぶり~。
うんと、8月に産まれるの。
この町に住んでるなら、紫乃ちゃん今度遊びに来て?
咲哉のね…」
と麻衣が言ったところで亜季がかぶせて言った。

「そう、それはおめでとう。
お幸せに。
私達急ぐから、じゃね。」



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