あなたを忘れていいですか?
行こう、と言って亜季は私を引っ張った。
私は咲哉も麻衣も見れなかった。
「何が遊びに来てよ。
バッカじゃないの。
人の男奪っておいて可愛子ぶってんじゃないわよ。
ふざけんじゃないわ。」
亜季の怒りはマックス。
もっと言ってやりたかった。
殴ってやりたかった、って。
だけど、私があの場にいたくないってちゃんとわかっていたから。
「亜季…私、大丈夫だよ。」
「でも紫乃…」
「なんか、もう大丈夫。
私さ、心機一転しようかな?
亜季のいる、東京に行こうかな?」
これは、ずっと考えていたこと。
咲哉がいた部屋は辛すぎる。
咲哉がいるこの街は辛すぎる。
だから…
新しい生活をしよう。
当分、恋は無理だろうけど。
いつか、咲哉以上に優しい人に巡り逢えたら。
と、決めた。