あなたを忘れていいですか?
すれ違い始めたのは、三年生の秋。
私は地元を離れて隣県の看護大学の推薦の面接を終え、合否の結果をドキドキしながら待っていた頃。
地元から車で一時間、電車ならまだ速い。
そのため、遠距離恋愛になるって感覚はなかった。
でも、咲哉が志望した大学は東京。
新幹線で一時間、車なら何時間?
しかも咲哉は、私には何も言ってくれなかった。
人づてに聞くほど嫌なものはないし、腹立つことはない。
だってそれを私に言ったのは、咲哉の幼なじみで咲哉を好きだと噂のある女の子だったから、尚更。
喧嘩、しましたよ。
咲哉は、遠距離が嫌なんだとしか思ってなかった。
でも、私はそんなことじゃなくて、咲哉の口から聞きたかったんだ。