あなたを忘れていいですか?

「高杉先生や篠原先生も参加だし。
今年の納涼会はイケメンドクター揃い踏み。」

高杉先生は本当に人気者なんだな。
イケメンドクターって言われてる篠原先生ってのもじっくり見てみたい。
篠原先生は外科の若手ドクター。
高杉先生の後輩らしい。

「うん、楽しみにしてる。」

更衣室を出てそんな話をしながら職員玄関で山ちゃんと別れ自宅へと向かう。
また夜勤だからスーパーで何か買って帰ろう。
こんな風に勤務がハードな時は自宅か近くて良かったと思う。
満員電車に揺られるなんて、まっぴらごめんだ。

ふと、今日の午後から入院する新患さんのことを思い出す。
隣市の個人病院からの転院。
八年前まで暮らしていたのは、私の元住んでいた町の隣町。
50代の女性で狭心症の検査入院らしいけど、何やらまだ疾患が隠れているのではないかと高杉先生は言っていた。

< 31 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop