先生が私に恋をした
そして、あっという間に月日は流れて
先生がアメリカへ行く日まであと一週間
渡米の準備、資料の整理や、仕事の引き継ぎ、先生は
目まぐるしい毎日を過ごしていた

そして、私は、先生がいなくなる現実を日に日に
実感し苦しい想いだけが募っていた


「部屋、だいぶスッキリしたね」
「うん、ほとんどの荷物まとめたからね」
「いよいよだね、、、」
「寂しい?」
「大丈夫。一年の辛抱だし」
「強がりだな、奏は」

クスリと笑うと、私の頬に流れる涙を拭った
ごめんね、弱虫で。
でも、、、今だけ、今だけ泣いてもいい?
当日はちゃんと笑顔で送るから、、、

「帰ってきたら、いっぱいデートしよう」
「うん。でも無理しないで。忙しいんだから」
「いつもご飯とか、この部屋とか、そんなデートばっかり
だったから、いつフラれるかと、、、」
「そんなこと気にしてくれてたの?」
「うん。ほら、俺らみたいな仕事はさ、時間も曜日も
関係ないしさ。だから、いつかは連れて行けたらなーと
思ってたんだ」
「ありがとう。謙介さん。」


ありがとう、先生
私を愛してくれて、大切にしてくれて、、、



< 124 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop