先生が私に恋をした
「奏さんのマッサージ効くね、すごいスッキリしたよ
ありがとう」

「どういたしまして」

本当にスッキリしたみたいで軽快な足取りで診察室から
出ていった
毎日こんなんじゃ仕事どころじゃなくなっちゃう


「はぁ~っ」

大きなため息をひとつして
午後の準備に取り掛かる
今日の午後はペースメーカーの定期検査
予約を確認してカルテを出した

コンコン

診察室に入ってきたのは放射線技師の野々宮さん

「頼まれてたデータ出来たよー」
顔の前でヒラヒラとCD-ROMを揺らしてる

「ありがとうございます」
CD-ROMを受けとり揃った資料を間違いないかチェック
してると
まだいた野々宮さんが

「奏ちゃん、飯でもどう?」
「今度ぜひー」

と、心にもない返事をして作業をすすめる
都合いい日あとで教えてねーと言いながら
サンダルをペタペタ鳴らして出ていく


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