先生が私に恋をした
日野先生との約束の日

「よし、完璧」

身支度を終えた私は玄関にある鏡の前で全身のチェック
お気に入りのヒールの靴を履く

「いってきまーす」

休みだった私は約束の時間に合わせて家を出た
場所は前回と同じ
どこがいいかリクエストを聞かれ、美味しかったからと
同じ場所を選んだ

お店に向かう車のなかで大好きな曲を流す

私はいつの間にか、日野先生に会う日を心待ちにしていた
先生といると心が穏やかになる
優しい気持ちにしてくれるというか、そんな魅力が
先生にはあったから

車を停めておりると、目の前を先生の車が通り過ぎる
奥の方に停めて歩いてきた先生
目が合うと優しく微笑む

「奏さん、ごめんね。待たせた?」
「いえ、今来たとこです」

個室になってる居酒屋は周りのギャーギャー騒ぐ声も
シャットアウトしてくれる
静かな空間で過ごせるのは居心地がいい

「奏さん、ビール飲む?」

飲んだら代行だ
神経質な私は他人にハンドルを握られるのが嫌だ


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