先生が私に恋をした
そして、医局掃除のときは決まってキスをせがむ
本当は今すぐ押し倒したいけど、、、と笑いながら
私が掃除する姿を飽きることなく目で追ってる

私はそんなやり取りもいつの間にか当然のように
受け入れ、最初の頃にあった戸惑いや彼氏に対する罪悪感も
徐々に薄れていた

そして、かっしーも秋の結婚を白紙に戻していた
知らされたのはだいぶ後になってからだった



「掃除終了です。じゃあ、私外来戻りますね」

月末に専門医の試験があるとかで資料とにらめっこ
していたかっしーが私の声に振り返る

「ありがと、奏さん。」

そう言って私のそばまで来ると
ちゅっと軽く触れるだけのキスをして抱きしめた
かっしーの鼓動が私の中に心地よく沈んでいく

プルルプルル

穏やかな時間を切り裂くように内線がこだまする

「私、出るよ」

かっしーから離れて電話にでる。

「はい、外来の原田です」
「あ、奏さん、柏木先生いる?急患で手伝って欲しいん
だけど、、、」


< 77 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop