先生が私に恋をした
声の主は日野先生だった

「はい、います。電話変わりますか?」
「いや、伝えてくれればいいよ」

そう言うとすぐに電話は切れた
なんか、先生ちょっと不機嫌だった気がする

「かっしー、急患だから来てって、日野先生が」
「あー、わかったー」

部屋の明かりを消して二人で医局を出た
私は外来へ、かっしーは急患の処置室へ



「奏ちゃん、沢っちが呼んでるよー」

診察室へ向かう途中に由紀さんが前から歩いてきた

「今行きます」
早歩きして、診察室へ入る

「先生、どうしました?」
「あ、この患者さんこの前心電図予約したよね?」
「はい、しました。」
「データがないんだよ」
「えっ?」

先生がID入力して心電図の画面を開く
本当だ、出てこない

「検査室に確認してきます」
「お願い」

私はIDをメモして検査室に向かった
着くまでのほんの少しの時間も頭のなかはミスしてたら
とばかりが巡った

コンコン
ノックとほぼ同時にドアを開けた


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