先生が私に恋をした
「おはよう、奏さん」
「おはようございます」

診察室に入ってきた日野先生が私の頭をさらっと
撫でながら椅子に座った
先生のひとつひとつの仕草に私はドキドキしてしまう
なんて罪深いことをしてるんだろう
無自覚な先生を横目でチラリと見る

よくよく見ると整ったきれいな横顔
なんでこんな人が私がいいと言ってくれるんだろう

「ん?」

じっと見すぎたせいで先生に気付かれる

「あ、いえ、なんでもないです」
「今日元気ないね」
「そんなことないですよー!ほら」

満面の笑みを作ってみせた

「嘘はつかない。話してごらん?」
「私、嘘なんて、、、」

ついてないと言おうとしたら

「わかるよ。何かあったことくらい。」

私と膝をつき合わすように、先生は身体の向きを変えた
こんなこと言えない
プロポーズされて気持ちが分からない
仕事から離れたくないと思ってること
その理由がきっと、先生とかっしーにあるということ

言えない、、、

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