先生が私に恋をした
「先生、コーヒー入りましたよ」

医局にあるドリップコーヒーを淹れてテーブルの上に置く
この仕事をして初めてドリップコーヒーを目にした時は
やり方がわからなくて、中身をカップに入れたっけ

懐かしいな、、、

「ありがとう。奏さんも座りな」
「はい、失礼します」

あははと先生は笑いかしこまった私の肩をポンと
たたいた

「もしかして、警戒されてる俺?」

急に真顔になって問いかけてきた

「あ、違います。その、どこまで話したか忘れて、、、」
「あー、考えたいとか、言ったとこかな」
「え、そうでした。で、考えたいって伝えたら
結婚したいと言ってたのは奏なのに、なんで?とか
言われてしまって、、、」

先生はただ頷いて私の話に耳を傾けてくれた

「確かに今まではそうだったんです。
でも、今は仕事も楽しいし、まだ辞めたくないんです
あ、結婚したら、家庭に入る話だったので」
「そっか、、、」

そう言って先生はしばらく考え込んでいた
それを待つ間に私は緊張したのか、コーヒーを
飲み干していた


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