dear
プロローグ
満月だったあの夜、俺は無性に外に出たくなった。

親には、「コンビニに行ってくる」と伝えて家を出た。

月を見ながら、暗闇の道をただ歩いていた。

道には街灯もなく、本当に真っ暗だった。

だが、月が俺の行く先を照らしてくれていたから、なんともなかった。

今日は遠出をした。
もし、コンビニに行っていたなら、もう着いてもいい時間帯だろう。

時間が気になって、ズボンの右ポケットに手を突っ込んだ。


ポケットには何も入っていなかった。


携帯…忘れた。

落ち込みながらも、前を見ながら俺は歩いた。
< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop