リンク・イット・オール



本当の自分を見せるのは、恥ずかしいし怖い。

嫌われたらどうしようって、不安がこみ上げる。



だけど、聞いて欲しい。

どうしてか、あなたになら話したいと思ってしまう。



「……私のせい、なんです」



視線を足元に向け、ぼそっとつぶやく。

その言葉に真紘先輩からは、「え?」と短い返事が聞こえた。



「お母さんが亡くなった日、朝お母さんと喧嘩して口も聞かずに家を出て……気まずいからって遅くまで帰らなかった」



私、あの日の朝、お母さんがどんな表情をしていたかすらわからない。



「ようやく帰ったときにはお母さんはもう倒れていて、救急車呼んで病院に行ったけどダメで……私があの日いつも通りに帰ってれば、間に合ったかもしれないのに」



私がつまらないことで怒らずに、喧嘩せずに家を出ていたら。

意地を張らずにまっすぐに帰って素直に謝れていたら。



『いってきます』も

『ごめんなさい』も、言えたのに。

なにひとつ言えないまま、会えなくなってしまうなんて。



後悔ばかりが胸に押し寄せて、堪えきれず涙をこぼした。


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