リンク・イット・オール



「ああしていたら、こうすれば、たらればなんていくらでも言える。だけど悔やんでも、過去は変わらない」

「そう、ですけど……」

「それなら俺は、なんのために生きてるのか、自分が生きる理由とひとつでも多く出会うことに時間を使いたい」



生きる、理由……?

私の目を見てはっきり言い切った彼に、一瞬涙は止まった。



「俺は歌うため、家族や友達と笑うため、美味いものを食べるために生きてる。今こうして、悠の涙を拭うために生きてる」



歌うため

笑うため

食べるため

私の涙を、拭うため



「そう思ったら、嫌なこともつらいことも、無駄なことなんてない。生きててよかったって、思えるんだ」



真紘先輩は微笑み、私の目元に滲んだ涙を指先でそっと拭ってくれた。



なんのために、生きているのか。

それに対して簡単に答えは出てこない。

だけどその理由が、愛を知るためだったらいいなって思った。


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