リンク・イット・オール
気持ち悪い、目が回る、頭が痛い、息苦しい。
周囲を行き交う人々は、うずくまる私を避けて行く。
まるで、私なんて見えていないかのように。
どうせ見えないのなら、このまま消えたい。
いなくなってしまいたい。
そしたら、苦しさからも解放されるかもしれないのに。
そう思った、その時だった。
『大丈夫?』
頭上から降り注ぐような声が聞こえた。
顔を上げるほどの力すらも入らず、目だけを動かし見ると、黒いスニーカーを履いたチェック柄のスラックスの裾が見えた。
うちの学校の、人。
すみません、大丈夫です。そう言いたいけれど声すらも出ず、うつむくしかできない。
ほっといて、このまま去って行ってほしい。
気づかないままでいてほしい。
そう心の中で願ったけれど、次の瞬間にその人は私の前に背中を向けて屈んでみせた。
『背中、乗って』
どうして、見ず知らずの相手に、そんなふうに親切にしてくれるの。
そう戸惑いながらももう体は限界で、寄りかかるように背中にもたれる。
すると彼は自分の首元に腕を回させ、ひょいと私を背負ってみせた。