リンク・イット・オール



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「それでは、少し遅くなりましたがこれから三者面談を始めたいと思います」



9月最後の火曜日。

放課後の進路相談室には私とスーツ姿のお父さん、そして担任の先生の3人が2対1で机を挟んで座っていた。



三者面談の再実施をお父さんに伝えるのは抵抗があった。

自分のために大切な仕事に穴をあけさせてしまうのがいやだったから。



だけど、先週真紘先輩が家に来たあの日。

思い切り泣いたせいか心は自然と素直になれて、お父さんに三者面談の件を伝えることができた。

お父さんはもちろんふたつ返事で了承し、仕事を中抜けして都合をつけてくれたのだった。



先生は私が夏前に提出した進路希望調査の用紙を見ながら話を切り出す。



「百瀬さんの進路は、文系の大学ね」

「それなんですけど……やっぱり専門学校にしようかなと、思ってて」



用紙に記入したものと違う進路を口にする私に、隣に座るお父さんが不思議そうにたずねた。


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