リンク・イット・オール
「まだまだ迷う時間はあるから。ゆっくり話し合って、一番いい道を決めましょ」
先生は今無理に決めることはせずにそう笑うと、次の話題へと移った。
それから、成績のことや学校でのこと、委員会や部活動でのことなど、時間をかけて話をした。
そして30分ほどかけ話を終え、私とお父さんは「失礼します」と進路相談室出た。
ふたりきりの廊下に出て、お父さんは少し緊張が緩んだように小さく息を吐いた。
「緊張した?」
「あぁ、すごく。これまで学校行事全般、ママに任せっきりだったからなぁ」
お母さんの有り難みをかみしめるように言いながら、お父さんは腕時計を見て時間を確認する。
「じゃあ、お父さんまた仕事に戻るから。夜遅くなりそうだから、鍵かけて、ちゃんとご飯食べて早く寝ること」
「うん、わかってる」
お父さんはこれからまた仕事だ。忙しい中来させてしまったことに、また申し訳ない気持ちがこみ上げる。