リンク・イット・オール
「……忙しいのに、わざわざごめんね」
「そこは、『ごめん』より『ありがとう』が聞きたいな」
ぼそ、とつぶやく私に、お父さんはそう笑って頭をよしよしと撫でる。
「進路のこと、先生も言ってた通り時間かけてゆっくり決めていこう。な」
諭すようなその言葉に小さく頷くと、お父さんは笑顔で手を振り去って行った。
進路、か……。
自分なりに考えた方へ進むべきか、元々のまま進むべきか。どちらが正しいのだろう。
悩みかけたその時、突然背後から肩を叩かれた。
「わっ」
「わぁ!」
いきなりの大きな声に、驚き勢いよく振り向く。するとそこには、へらっと笑う真紘先輩が立っていた。
「び、びっくりした……」
「はは、驚きすぎ」
私の反応が予想以上だったのだろう。おかしそうに笑う彼は部活に向かうところだったのか、リュックを背負っている。