リンク・イット・オール
「今いたの、もしかしてお父さん?」
お父さんが歩いて行った方向を見ながら言う真紘先輩に、頷く。
「あ、はい。三者面談に来てくれて」
「へぇ、若い。しかもイケメンだし、優しそうでいいお父さんじゃん」
いいお父さん……。
確かにそう、なんだけど。
「……そう、ですね」
素直に喜べず、ぎこちなく笑う。
「けど、いつまでも甘えてちゃいけないなって、思ってて」
お母さんがいない今、私もしっかりしてこれ以上お父さんに負担をかけないようにしなくちゃ。
そんな責任感から小さく笑うと、真紘先輩は私の頭をくしゃっと軽く撫でた。
『そんなことないよ』、というかのように撫でてくれるその手は、お父さんの手とは違うもの。
少し骨ばった、長い指をした手。
この心を、いつも掬い上げてくれる手。