リンク・イット・オール



それから私と真紘先輩は、ふたりで部室へと向かった。



今日は全員集まるかな、なんて話をしながら視聴覚室のドアを開ける。

するとそこには、笹沼先輩が正座の形で私たちを待ち構えていた。



「へ?笹沼先輩?」

「お願いします!助けてください!!」



そして大きな声で言うと、額を床につけ土下座をした。



い、いきなりなに?

あまりに唐突な土下座に困惑していると、真紘先輩も意味がわからなそうにたずねる。



「なに。いきなり」

「ライブのチケットがあまってるんです!買ってください!!」



リュックをおろしながら問う彼に、笹沼先輩は土下座したまま答える。

その光景に、壁際に座りスマホをいじっていた高田先輩は冷ややかな目で口を開いた。



「友達のバンド女子にいい顔したくて、ライブのチケット何枚も買い取ったはいいけど、捌けなくて困ってるんだって」

「出た、笹沼のええかっこしい」

「だってミカちゃんが『チケットノルマがつらいの……』って涙ながらに頼み込むんだもんよ!!かわいくて断れねーよ!」


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