リンク・イット・オール
「あっ、じゃあチケット代……」
チケットを受け取り、鞄から財布を探そうとする。けれどその手は、それを引き止めた。
「いいよ。俺が付き合わせるようなものだし」
「さすがヒロ!その調子でもう一枚……」
「調子に乗んな。次は買わないから」
あっという間に元気になり、調子に乗ってもう一枚売ろうとする笹沼先輩に真紘先輩はジロリと睨みつけた。
買ってもらっちゃった。
休日に一緒にライブに……そう誘ってもらえたの、嬉しいな。
いや、まぁふたりきりではないし、軽音楽部の活動の一環として、一度くらいはライブも見ておいたほうがいいということだろうし。
変に期待して浮かれちゃいけない。
そう思いながらも次に浮かぶのは、なにを着ようか、どんな靴を履こうか、ということばかり。
少しでも、彼の好みの格好をしたい。なんて想像しながら。