リンク・イット・オール



かっこいい……。

つい惚れ惚れと見てしまってから、はっとして「お疲れさまです」と挨拶をした。

そんな私を、真紘先輩はまじまじと見つめる。



「悠、私服だとイメージちょっと変わるね」

「えっ、そうですか?やっぱり、変ですかね」

「いや。かわいくて目のやり場に困る」



ふっと笑ってみせる真紘先輩は、きっとからかっているのだろう。

けれどそれを笑って流せるはずもなく、自分の頬が赤くなるのがわかった。



そんな私たちのやりとりを見て、笹沼先輩は鼻で笑う。



「イチャついてないでさっさと行こうぜ」

「い、イチャついてないです……!」

「はいはい」



慣れたように歩き出すふたりに、続いて歩いて行く。



繁華街がある通りの日曜の夕方ということもあり、人の多い駅前。

そこから少し歩き、細い道を入ったところに一見普通のビルがある。



階段を降り地下に入ると、薄暗く狭い通路には壁一面に様々なバンドのポスターやステッカーが貼ってある。

なんだか異様な雰囲気……。

そう思いながら、ふたりの後に続き入っていく。


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