リンク・イット・オール



少ししてやってきた電車に、私たちはそのままふたり乗り込んだ。

少し混雑した車内で、手はぎゅっとつながれたまま。むしろ、はぐれてしまわないように、いっそう力を込めて握られた。



指先とてのひらが、しっかりと触れる。

ゴツゴツとした骨っぽい手の感触と、少しずつ熱を帯びる体温。

それらを感じるだけで、心臓がドキドキとうるさくなる。



恥ずかしい、緊張する、手が熱い。

だけど、離したくない。



揺れる電車の中、無言のまま隣をちらりと見ると、たまたまこちらを見た真紘先輩と目が合った。

交わる視線に彼が微笑む。その表情ひとつにまた思う。

あなたが笑うだけで幸せで、胸がときめくこと。



……すき。

真紘先輩の歌が、笑顔が、優しさが

全てが好き。



ありがとうの思いは、いつしか恋になって。






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