リンク・イット・オール



「軽音楽部も同好会とはいえなにかやるんだろ?」

「うん。ステージ借りてライブやるみたい」



といっても私はなにをしていいかわからないけど、と付け足し笑う。

すると莉乃ちゃんは、へぇと頷きながら思い出したように言った。



「で?池園先輩とはあれからどうなの?チューくらいした?」

「え!!?」



ち、チュー!?



「ま、まさか!ないから!そもそも私と真紘先輩はそういう関係じゃなくてっ……!」

「あはは、冗談冗談」



真っ赤になりながら否定すると、おかしそうに笑われてしまった。

もう、からかうなんてひどい。



そう思いながらも思い出すのは、あのライブの日、帰りの電車でつないだ手。

電車の中が混雑していたからつないだままでいてくれたのだと思ったけれど、それから家まで送ってくれる間もずっとつないでくれていた。



けどあれはきっと、子供相手に手を繋ぐのと同じ感覚というか、なんというか。

そう、だから浮かれちゃいけない。自惚れるな。

そうわかっていても、思い出すと顔が熱くなる。



その私の反応から『なにかあったな』と言いたげに、莉乃ちゃんはニヤリとし、松永くんは苦笑いをした。



< 132 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop