リンク・イット・オール



「悠。お疲れ」



高田先輩は、肩にかけた黒いベースから私へ視線を向けると声をかける。



「練習中ですか?」

「そ。前に悠の家で印刷してきてもらった新曲、文化祭でやるのにまずは楽器隊だけで煮詰めてんの」



そう教えてくれる高田先輩の隣では、笹沼先輩と関先輩が「ここはこうで」「このタイミングで」と曲について話し合っている。



いつもはそれぞれ自由に過ごしているイメージの強いこの部室。

だけどこうしていると、やっぱり先輩たちも音楽が好きなんだなぁと改めて感じた。

それは、辺りに置かれた楽譜に細々と書き込まれたメモたちからも感じることができた。



少しして話がひと段落ついたようで、先輩たちは「一旦休憩」と楽器を置いた。



「文化祭のライブって結構人集まるんですか?」

「うん。ステージ発表自体どれも人気だけど、うちのライブは特にヒロ目当ての女子が超集まるから」



私の問いに高田先輩が答えると、関先輩と笹沼先輩がうんうんと頷く。


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