リンク・イット・オール



「中学の頃からそうなんだよな」

「そうそう。文化祭はもちろん、普段ライブハウスでやってもファンが集まる状態」



へぇ、真紘先輩にはそんなにファンがいるんだ……。

そういえば、学年も部活も接点のない莉乃ちゃんも知ってたくらいの人だもんね。



そう感心していると、笹沼先輩が嘆くように言う。



「イケメンはずるいよなぁ。今日もうちのクラスの女子が、『明日のヒロの誕生日、クッキー作るんだぁ〜』ってやってたし」



へぇ、手作りクッキーかぁ。

……って、ん?待って、今なんて?



「真紘先輩って明日誕生日なんですか!?」



笹沼先輩がポロっとこぼしたひと言に勢いよく食いつくと、珍しい私の勢いに3人は驚いた様子だ。



「そうだけど。知らなかった?」

「はい、まったく……」

「まぁ普段自分で誕生日なんてこと言わないしなぁ」



そうだったんだ。

明日が、誕生日……。

なにかプレゼント、贈りたいな。いつもお世話になってるし。

『ありがとう』も『好き』もまだ言えないから。せめて『おめでとう』は伝えたい。


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