リンク・イット・オール
「勝手にすみません……!」
「いいよ。かわいい歌声してる」
真紘先輩は笑いながらこちらへ来ると、荷物を置き、倒れたままだった机を持ち上げ立て直す。
それを見て、そうだ楽譜を拾わなければと残りの楽譜も集めた。
「その曲、そこまで歌えるくらい覚えてくれてたんだ?」
「はい。私、この曲好きです。でも今改めて歌詞を見て、もっと大好きになりました」
傷つく弱さや寂しい心に寄り添う優しさ。背中を押してくれる強さ。
彼が選んだ言葉ひとつひとつが、それらを感じさせてくれる。
「落ち込む時もあるけど……それでも前を向かせてくれるような、真紘先輩みたいな、優しい歌です」
大好きな歌、愛しいあなたのような歌。
その思いを笑顔で伝えると、真紘先輩は無言で手で口元を覆い顔の半分を隠す。
見るとその表情は少し照れ臭そうににやけている。
「ありがと。その言葉が今日一番のプレゼントかも」
沢山のプレゼントの中で、今日一番のプレゼント……。
その言葉が嬉しいと思うと同時に、自分がここへ来た目的をハッと思い出した。