リンク・イット・オール
「じゃあ、片方は悠にあげる」
「え?」
「これの意味が希望、潔白、寛大なら、俺は悠のほうが似合うと思うから」
それって、どういう意味?
不思議に思いながらも、自分の耳にはピアスホールがあいていないことを思い出す。
「私、ピアスあいてないですけど……」
「あ、確かに」
真紘先輩は私の耳を見て、ふっと笑う。
「じゃあ、お守りにしてて」
そしてそう言って私の手に、もう片方のピアスをぎゅっと握らせた。
「お守り……?」
「そう。俺が悠の希望なら、悠は俺の希望だっていう、証として」
真紘先輩は、私の希望。
そして、私が真紘先輩の希望……?
なにもできてなんて、いないのに。
彼から貰ったあたたかな気持ちの、ほんの少しも返せていないのに。
私を希望といってくれることに、嬉しさで涙が出そうになる。
それを堪えるようにピアスをぎゅっと握る右手を、真紘先輩は大きな手でそっと包んだ。
その温もりが、愛しい。
この手を離さないでほしい。
笑っていてほしい。
この時間がずっと続いてほしい、そう願わずにはいられなかった。