リンク・イット・オール
◆8.とどかない こえ
彼は私を『希望』と言ってくれた。
なにもできないと思ってた、ちっぽけな私の存在。
だけどあなたの背中を押すことができているとしたら、それはとても嬉しいこと。
その思いがまた、私の希望になるんだ。
真紘先輩の誕生日の日から一週間。
晴れた日の午後の教室で、私はピアスを光に透かし見る。
キラリと輝くこのピアスと同じものが今日も彼の耳にも輝いていると思うと、それだけで心が踊った。
「ゆーうっ、6限目調理班は家庭科室でたこ焼き作りの練習だって」
そこに莉乃ちゃんから声をかけられ、私はピアスをピルケースに入れポケットにしまった。
「いいなー、たこ焼き作り。私と松永なんて教室で自習だよ」
「でも上手く作れるかな……たこ焼き屋さんなのにたこ焼きがまずかったらまずいよね、責任重大だよね……!」
「あはは、悠ってば真面目〜」
莉乃ちゃんはけらけらと笑って、大丈夫だよというように私の肩を叩く。