リンク・イット・オール
「あ、そうだ。関とヒロが来たらこの前の新曲やるからさ。感想聞かせてくれよ」
口に含んだたこ焼きで頬を膨らませながら笹沼先輩は言う。
「でも、私大した意見なんて言えませんけど……」
「なに言ってんの。ヒロだって言ってたでしょ。悠の真っ直ぐな意見が聞きたいんだって」
遠慮がちに言った私に対し、高田先輩は励ますように言ってくれた。
それを聞いて笹沼先輩は「そうそう」と力強く頷く。
「それに前俺たちが曲聴かせたときの反応見ても、こっちが伝えたいことをちゃんと感じてくれてるってわかったから。それってこっちからすると超嬉しいことなんだぜ」
私を見て、そうはっきりと言ってみせたふたりに、照れ臭くて小さくうなずく。
私は、大きなことができるわけじゃない。
私の意見がためになるわけじゃないだろうし、いいアドバイスができるほど知識があるわけでもない。
だけど、そうやって自分を信じて頼ってもらえるのは、嬉しいな。
この気持ちもまた、真紘先輩がくれた出会いのおかげだ。
するとそのとき、ガラッと部室のドアが開けられた。
そこから姿を現した真紘先輩は、珍しく口元をマスクで覆っている。