リンク・イット・オール
「カフェオレで大丈夫?」
「はい、ありがとうございます」
差し出された缶を受け取ると、手にじんわりと温かさが広がった。
真紘先輩は私の隣に腰を下ろすと、自分の分の缶コーヒーを開ける。そしてマスクを下ろして、小さくひと口飲んだ。
「ごめんね、相変わらずうるさい家族で」
「いえ。皆さんいらっしゃったんですね」
「そうそう、妹たちも今帰ってきたところで」
小さく笑いながら、真紘先輩は缶を自分の横に置く。
「でもまさか悠が来てくれるとは思わなかったな」
「先輩たちが行ってきなって言ってくれて。みんな心配してましたよ。これ、お見舞いです」
「本当?わざわざありがと」
先輩たちから託されたお見舞いが入った袋を渡すと、彼はそれを受け取り、中にあったあんぱんを見て笑った。
よかった、元気そう……だけど。
まだ掠れた声から感じるのは、どこかから元気のような違和感。
「体調は大丈夫ですか?何日も休むくらいだからよっぽど悪かったんじゃ……」
「あー……いや、そういうわけじゃないんだけどさ」
体調のことを話題に出すと、真紘先輩は苦笑いで頬をかく。