リンク・イット・オール
「……ごめん」
悲しい目で呟いて、視線をふたたび地面へ向ける。
「俺、病院でそれ聞いてからおかしくて。些細なことでイライラしたり、悲しくなったり、それで家族にも八つ当たりして……苦しくて、どうしようもない」
膝の上で、ぎゅっと握られる拳。
今もまた様々な感情を堪えているのだろうことが見てわかるほど、力が込められ震えている。
「ごめん……文化祭も、バンドも歌ももうできない。あいつらにも、謝っておいて」
真紘先輩はなにも悪くないのに、繰り返す『ごめん』の言葉が悲しく響く。
それと同時に、彼の足元の地面にぽた、ぽた、と雫がいくつか落ちた。
地面の砂を濡らすのは、彼の瞳からこぼれた涙。
それを見てようやく、自分の発言を後悔した。
私……無責任なこと、言った。
現実と向き合おうとしている彼に、理想を述べるなんて。最低、だ。