リンク・イット・オール
「あの、でもどうしてここに?」
「え?だってこれ見て俺のところ来たんじゃないの?」
そう言いながら彼が指差す先には、ホワイトボードに貼られたチラシ。
そこには『軽音楽部!マネージャー募集!!』と手書きの荒々しい字で書かれていた。
軽音楽部の、マネージャー……。
「俺はてっきり、マネージャー志望の人が『軽音楽部の部員見つけた!』って意味で来たんだと思ったんだけど」
「ご、ごめんなさい!違うんです!」
彼の言葉を否定し、私は慌てて深く頭を下げて謝る。
あの日のことを覚えてくれていたどころか、全く見当違いな誤解をさせてしまったらしい。
私が紛らわしい言い方をしたから……!
まずい、怒ってるかな。
そう不安でいっぱいになりながら、頭を下げたまま彼の様子をうかがうようにチラッと視線を上げる。
すると目の前の彼は、予想に反してがっくりとしながら私の前にしゃがみ込んだ。