リンク・イット・オール
「その言葉自体が、っていうより、自分のことを考えて、臆さず彼女の本音を伝えてくれたことが嬉しかった」
それって……どういう意味?
問うようにお父さんを見つめると、その唇は言葉を続ける。
「この人は同情なんてせずに、俺の怪我とも、泣き言ばっかりでかっこわるい今の俺ともちゃんと向き合ってくれてる。それだけで、心強かった」
きっと、荒れて、悲しんで、絶望して。そんなお父さんに、その人はちゃんと向き合った。
向き合い、お父さんを想ったからこそ。
『こんなことを言ったら嫌われるかも』とか、『拒まれたらどうしよう』とか、そういった気持ちを抱えるより、伝えることを選んだんだ。
私がそばにいるよって、お父さんに知ってほしくて。
その時の彼女の勇気と、お父さんの嬉しさを想像すると心が震えた。
「……素敵な彼女さんだったんだね」
自然とこぼれた言葉に、お父さんは素直に頷く。
「うん。まぁ、その彼女がママなんだけど」
「えっ!?そうなの!?」
って、お母さんのことだったの!?
そっか、お父さんが高校生の頃からの付き合いだったんだ。
全く違う女性を想像していただけに大きく驚く私に、お父さんはのろけるように表情を緩ませ言う。